2019年05月22日

【平成備忘録】過去、特に印象に残ったBEST20冊、並べてみます。

平成の終わりに、いわた書店の「一万円選書」に当選したという話の続きです。
本を選んでもらうための「選書カルテ」に記入しなければならないBEST20冊、大いに悩み、苦しみましたが、この20冊にしたよ!というご報告までに。
平成だけではなく昭和に読んだ本も入ってるけど、時期的に「平成が終わるまでに読んだ本」って感じになったのが我ながら面白かったです。
BEST20ではあるけれど、順番は付けていません。20冊選ぶのもドエライ大変だったのに、順番なんてとても付けられないです。
また、ちょっとズルもしていますwだからその旨いわた書店さんにもお詫びの一文を添えましたw
先に、平成シネマをまとめようと思っていたのですが、思いがけず当選の通知をいただいたため、本の方が優先になりました。映画はまだまとまっていません。何しろ10連休が(以下諸事情により割愛w)
というわけで、私の平成までのBEST20冊です、どうぞ。

※順不同です
※あくまでも私の好みと偏愛と偏見に満ちた選書ですが、だからこそ私のパーソナルな部分がダダ洩れになっていると思われます。何卒ご了承くださいw
※私が読んだタイミングでは単行本だったものもありますが、現実的に購入可能なものにAmazonリンクしています
※並べるだけってのも愛想がないのでちょっとずつ感想とか思い出とか書いてみたりなんかしちゃって
※そう思ったのはいいけど、ぼんやりしてる記憶に喝を入れながら20冊分書くってものすっげー大変だった件…
※映画もやろうとしてるんだけど大丈夫か私…







ハリー・ポッターシリーズ全巻セット J.K.ローリング


この本(っていうかシリーズ)は絶っっっ対外せない!と思って一番最初に入れました。全7作、上下巻に分かれたものを全部数えると11冊ありますが、無理矢理1作品と数えさせていただきますw
このシリーズをぶっちゃけひと言で乱暴にまとめるなら、魔法使いの純愛物語と言えるんじゃないかと思います。魔法界で愛されて生まれてきた魔法使いの子供をめぐる壮大な愛の物語を、ファンタステックに、ダイナミックに、ユーモアたっぷりに描き、時にシリアスに、ダークな世界を見事に融和させ、明と暗、光と闇、正義と悪、愛と虚無、そういう対照的なものを大胆にドラマチックに描いた、大人も子供も夢中になるファンタジーでした。また、家族愛や友愛の素晴らしさを存分に知らしめてくれた作品だとも思います。登場人物がいちいち魅力的で、一人ひとりの個性が際立つ作品だったと思うし、後半に向かってどんどん悲しい物語になって行くのは読んでいて本当に辛かったけれども、最後の最後でそこに向かうための物語だったんだなぁと腑に落ちる、実に巧妙に構成された、ある意味できすぎの物語だったと思います。何度読んでも楽しいし、何度か徹夜もした思い出深い作品でもあります。ハリポタのある時代に生まれてよかったと思える、間違いなく出会えてよかったと言える本です。





もの食う人びと 辺見庸


初めて読んだ時の衝撃は未だに忘れられません。
「食べることは生きること」という真理を、これほどまでに説得力のある形で描いた本を他に知りません。「食べる」という日常が、時代や国や人種が変わるだけでこれほどまでに違うのかという、「知らなかったこと」への驚きと畏敬、「知らなかったこと」への羞恥、「知らなかったこと」への感動、とにかくいろんな感情が知らぬうちに揺さぶられ、読めば読むほど気持ちが高ぶっていく一方で、妙に冷静になって行く自分もいて、それはつまり著者・辺見庸さんの感情を抑えた確かな心眼と観察眼、自分の目で見て感じてきたものを確実に的確に表現する卓越した力のなせる技なのだろうなと思いました。とにかく読みながらものすごくいろんなことを考えさせられたので、ものすごく疲れた記憶があります。ただしいやな疲れ方ではなく、爽快感を伴うものだったのがまた印象的でした。
単行本で一度読んだ後、文庫で2回読んだかな?既に20年以上前の本ですが、今読んでも恐らくゾクゾクとすると思います。時代を超えて語り継がれるべき永遠の名著ではないでしょうか。





童話物語〈上〉大きなお話の始まり 向山貴彦
童話物語〈下〉大きなお話の終わり
 

読んでいる間、ものすごーく楽しかった本。子供には勧められないような結構ヘビィな内容なのですが、それにもかかわらずとにかく楽しくてずっと読んでいたいと思った記憶が鮮明に残っています。
この本はファンタジーですがまったくキラキラしていません。たぶん本には書かれない細部に至る部分まで非常に細かな設定があるんだろうなと思わせる、目に見えない力が働いていたような気がします。あくまでもそれは作家側の設定にすぎませんが、彼らは作家の意図するところを軽々と越えて、その想像の世界で生まれ、生きて、生活をしている感じがすごかった。生きていれば、いいこともあるし悪いこともある。そういう当たり前のことが物語を通じて伝わってくるというか、ファンタジーなのに臨場感がありすぎるというか、リアルな「ナマモノ感」がすごかった。だから主人公ペチカの悲惨な状況が本当に悲惨に伝わってきて胸が痛むなんてもんじゃないし、何とかならないものかと祈りに似た感情が芽生えるし、一緒になって何だか大変!っていう状態でした。負の感情から生まれる希望とでも言いますか、どん底から始まっているからそこから上昇するしかないとでも言いますか。最初は辛いけど、最後は読んでよかった!と思う大好きファンタジーです。
作者の向山貴彦さんは、昨年47歳の若さでお亡くなりになってしまいました。「ほたるの群れ」も楽しみにしていたので、訃報を知った時は非常に悲しかったです。





メメント・モリ 藤原新也


人生のバイブル、指南書と思っている本です。一番最初に世に出たバージョンと、21世紀バージョン及び英語バージョンの3冊持ってますw
強烈な写真と言葉が並べられたこの本は、普段目を背けがちな後ろ暗い部分、できれば考えたくないこと、隠したいこと、そういうモノに対してダイレクトに容赦なく迫ってくる、ある意味危険な本かもしれません。激情と冷徹さが代わる代わるやってくるような、言葉と写真。何かを語りかけてくるようでもあり、無心でもあり、訴えかけてくるものがあると思えば、純真無垢そのものだったり。その時の自分の感情や状態が、ランダムに開いたページにそのまま反映されて見える怖い本でもあります。
後の著書で、この本に書かれた言葉は1日で書かれたものだと知り愕然とするのですがw、その時藤原新也さんの中にあった言葉がほとばしり出たってことなんだろうなぁと思うと、凄まじいと思うと同時に、その感情はどこから来てどこへ向かうのだろうと考えてしまいました。この作品のためのものだったのか、そうじゃないのか。でも未だにこの本を崇め奉るファンも多いので、その日その時に留まる類のものではなかったのだろうなぁと思えます。きっと今にも未来にも続く力そのものなんだろうなと思います。メメント・モリの力は、無限で果てしないと思います。





舟を編む 三浦しをん


辞書好き、言葉好きにはたまらない本。その言葉に尽きます。私は以前辞書を「読み物」としてひたすら眺めていた時期が何年かあり、辞書の面白さにハマったその時の経験が、この本を読んだ時により響いたのかもしれません。
また主人公の姓が素晴らしい。名は人を表すと言いますが、この人ほどピッタリな名前はないんじゃないかと思う「馬締くん」、空気が読めない風変わりな青年ですが、言葉にかける情熱は人一倍という辞書編纂のために生まれてきたようなキャラw三浦しをんさんは、こういうキャラクター書かせると光り輝きますw
今、時代は電子辞書に移り変わりつつあるのかもしれませんが(アプリでも売ってるしね…)、紙の辞書もこのまま残ってほしいと思っている一人です。あの特殊な薄い紙が大好きだし、調べて印をつけるのも大好き。使えば使うほど味が出る感じも大好き。年々目が不自由になってきているけれど(悲しいw)、あのちっさいちっさい文字が大好き。変な例文を見つけた時の喜びたるや砂金を見つけた時の気持ちに匹敵します。砂金見つけたことないけど。
辞書1冊にものすごい情熱が注ぎ込まれているんだなぁといういうことがわかる素晴らしき小説。並行して読むと楽しい本、並べておきますねw

新解さんの謎
新解さんの読み方
辞書になった男 ケンボー先生と山田先生
明解物語
辞書を編む
三省堂国語辞典のひみつ: 辞書を編む現場から
広辞苑はなぜ生まれたか―新村出の生きた軌跡





ガダラの豚 全3冊セット 中島らも


私は徹夜こそしませんでしたが、間違いなく徹夜本に数えられる一冊だと思います。読み出すとページをめくる手が止まらない、一気読み必至のイッツスーパーエンターテインメント!であります、隊長!
正に「エンタメ全部入り」といった体の小説です。超常現象や新興宗教、アフリカのアヤシイ呪術、手品とマジックと超能力、洗脳と薬漬け、そういうモノの中にアクションあり、エロスもあり、だけど物語の中心には家族愛という柱がある感じ。
前半から後半に渡っていろんな常識、定説、固定観念などがどんがらがっしゃんと崩されていくのもなかなか痛快で、目から鱗必至。登場人物たちの変貌も目を見張るものがあり、まさかまさかの展開にワクワクすること請け合いです。中島らもさんの底力を感じる超絶エンターテインメント、これは読まなきゃ人生損するよぐらいのことを言ってしまいましょう。この本読むと人生得するよw





ティモレオン―センチメンタル・ジャーニー ダン・ローズ


読後感は最悪ですが、今でも胸に深く残る本。悲しい出来事が連続で起こるにもかかわらずいろんな意味で忘れられない一冊になっています。
主人公はティモレオン・ヴィレッタという雑種犬。最初は老人と一緒に慎ましく幸せに暮らしてるのですが、ある男の登場によって捨てられ、野良犬となってしまいます。でもティモレオンは諦めません。おじいさんのところに帰るんだ!と旅をするわけですが、その間に出会ったさまざまな人との交流が描かれます。人との交流の中で生まれるいいお話かと思いきや、読者の期待をバッサリ裏切る展開を見せます。何て言うか、「世の中はそんなに甘くない」ということを知らしめるような内容で、犬が出てくるからきっと優しくていい話に違いないと思って読んでいると痛い目に遭います。しかも超辛口。シニカルで刺激強め。なんてこったいって気持ちになること請け合い。でも読んでいるうちに、こうあってほしい、こうなってほしいと思うのは私の勝手で、私のエゴに他ならないということに気付いて、当然こういう展開もあるよねと受け入れている不思議。ある意味ファンタジーだけど、寓話的に仕上げることで遠回しに皮肉っているのがすごいなぁと。この本で私はダン・ローズファンになったんですが、この本のほかにもう1冊しか手に入らなくて…もっといろいろ読みたいんだけどな…





星の王子さま サン=テグジュペリ


言わずと知れた名著。好きすぎて何冊持ってるのかわかりませんw英語版もあるしフランス語版もあるよ。英語版はともかく、フランス語読めないのに何で買った私。どんだけ好きなんだと。
何度読んでも気づきがあります。何度読んでも感動します。楽しくて寂しい。そういう物語だと思います。物語の内容を書かれた時代の政治や時代背景を反映させたりして深読みする人もいるみたいですが、それは読む人が勝手に考えればいいことで、素直に王子さまの言葉に耳を傾け思いを馳せればいいと思います。きっと読む時期やタイミングによって感じることも変わってくるでしょう。それでいいし、それがいい。そういう不思議な本だと思います。
と書いていたら、また読みたくなってきました。





七つの人形の恋物語 ポール・ギャリコ


登場人物よりも人形の方が多いお話。生きるのが下手で不器用な人たちばかり出てきます。そういうところが人間臭くて好き。
主人公のムーシュは、孤独でやせっぽっちで何の取り柄もないと思っている娘さん。不幸な身の上に絶望し、橋の上から身を投げようとしますが、人形使いに出会い思いとどまります。人形遣いは一筋縄では行かない人間で、冷酷で口は悪いし屈折してるし最初は何なんだコイツという気持ちになります。しかし彼があやつる人形たちは非常に魅力的で、それこそ七変化の体で客を魅了します。人形を通して語りかけられると、そこには人形しかおらず、人が操っているようには見えません。そこにこの物語の核があります。
最初はぎくしゃくしていた人間たちが、人形を通して少しずつ心を開いていく様が圧巻。寒く冷たく凍り付いた冬から春の訪れが感じられるような流れに、読んでいるこちら側も少しずつ気持ちが溶解していきます。そして最後の最後でずしーんとくる台詞でどかーんと感動し…私は電車の中でそのシーンを読んだのですが、余りの衝撃にその場に座り込みそうになりましたw感動しました、マジで。すっごくいい本。マジで。





アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス


主人公・チャーリーの一人称で語られる物語。最後の1行で涙腺崩壊する本の筆頭だと思います。
知能に障害のあるチャーリーは、誰にでも親切で、笑顔を絶やさない心の清らかな純粋な青年ですが、脳の手術を受けて天才に生まれ変わります。しかし精神面では急激な脳の発達に追い付けず、心は子供のままという状態で精神的にアンバランスになってしまい、最初の純粋だった頃のチャーリーを返せ!と言いたくなるぐらい人格が崩壊してしまいます。頭は素晴らしくよくなっても性格がサイテーになったチャーリー。知らなくてもいいことは知らないままの方がいいんだなと思ったり。天は二物を与えずってこういうことかと思ったり。言動も変わってちょっと近寄り難くなるチャーリー。この小説のすごさは、それを一人称で語っているということ、そして文章が知能の変化に伴って劇的に変わることにあります。原書は読んだことはありませんが、日本語訳のそれはその変化の様子が如実に伝わってくる構成。てにをはや漢字とひらがなのバランスを変えていくことで、チャーリーの思考を表現していったのです。後半、チャーリーの脳は以前の状態に戻り、さらに重い障害を抱えることになりますが、前半ひらがなだらけの稚拙な文章から劇的に賢くなって言ってることが理路整然としていき、言ってることが難しすぎて近寄り難くなるというピーク時からまたゆるやかに下降していくチャーリーの思考が、訳文から全部伝わってきて本当に切なくなります。極めつけは最後の一文。ああ、ダメ、思い出しただけで泣きそう。





文房具図鑑 その文具のいい所から悪い所まで最強解説 山本健太郎


山本健太郎少年による、身近な文房具を網羅したALL手描き図鑑。圧倒的な文房具愛にノックアウトされること間違いなしのものすごい本です。
文房具愛が高じて小学6年生の夏休みの自由研究のためにこの文房具図鑑を作ったという山本少年。とにかくものすごい情報量で、実際に使ったことがないと絶対に書けないであろう文房具たちの細部にわたって詳細を極めており、余りの情報量の多さに本当に圧倒されます。私はこの本を読んでいるうちに何だか泣けてきて、ついに号泣に至ったという経緯がありますw何でそんなに泣いたのかというと、心底感動したとしか言いようがありません。趣味も極めるとこのとてつもない領域に到達するのか!という驚きと、好きなことをとことん追求することの素晴らしさや、それをカタチにする力量に思わず呼吸を忘れましたwこの自由研究が本になった背景には、余りのすごさに大人が放っておかなかったってことなんでしょうが、その気持ち本当によくわかります。これは本当にすごいよ!って何度思ったことか。
本の中で紹介されている文房具を販売している各社の担当者が言葉を添えているところがこれまた素晴らしく、温かくやさしさに満ちている上に、山本少年の文房具に対する思いを誰よりも理解し、共鳴し、そして何より感謝していることが伝わってくる内容で、そんなのを見ていたら泣けて泣けて仕方ありませんでした。今も思い出しただけで泣けますw私の中ではスゴ本に数えている1冊です。すごい。





クリスマスのフロスト(シリーズ全部) R.D.ウィングフィールド


    



(あーーーーリンク貼るの大変だったーーーーw)
みんな大好きフロスト刑事、1冊だけなんて選べないよ!ということでシリーズでまとめさせていただきましたw
いつも展開は大体同じで、一つ事件をきっかけにどんどん事件が連鎖していき、フロスト刑事はそれらを押し付けられたり自らしゃしゃり出たりしながらたくさんの事件を並行して面倒見ていく過程で、ドタバタハチャメチャな展開が必ずあり、フロスト刑事の情に厚い人柄がにじみ出るエピソードが必ずあり、フロスト刑事の人間臭い言動や行動が染みるころにはすっかりフロスト刑事のファンになっているミステリー小説です。フロスト刑事はもちろん架空の人物なんですが、こんな人いたら大変!と思いつつ、近くにいたら人生楽しいだろうなぁと思わせてくれるような人物。下品だし、だらしないし、セクハラまがいのこともしょっちゅうだけど、いつもこんなにたくさんの事件、一体どうするの…?と心配になる頃、超鮮やかに伏線が回収されていく展開に、快哉を叫ぶっていうね。
このシリーズの一番の要はやっぱり何といってもフロスト刑事その人。超仕事人間でいつもクタクタで見た目もヨレヨレだけど、器が大きい人情味あふれる温かい人物。時々常軌を逸した行動に出るのが玉に瑕だけど、雨降って地固まるみたいな人。いろいろあったけど結果オーライ。そんな人です(どんな人だよw)だってこのシリーズ、フロストに会いたくて読むんだもの。作者のR.D.ウィングフィールドさんは残念ながら亡くなってしまったけれど、フロスト刑事は不滅です!




ライ麦畑でつかまえて J.D.サリンジャー


ピタッとハマる時期に読むべき本。おっさんになってから読んでも何も響かない可能性大wでも、その青臭いアオハルがたまらなく良かったりするのです。やれやれw
気持ちだけが焦り、世の中思い通りにならないことだらけだ!自分の周りは不条理だけでできているに違いない!と意味不明な怒りをエネルギーに変換して海に向かってバカヤロー!と叫びたくなっちゃうようなお年頃に最適な本です。20冊の中に入れるということは、私はたぶんいいタイミングで読んだのでしょうwとにかくライ麦畑に到達するまで、一体どうすればいいのどこに向かうのこの話wと思いながら読んでいくわけですが、ライ麦畑に到達した途端、目の前に本当にライ麦畑が広がり、麦の匂い、音、葉と葉が触れ合い風に揺れる音、景色がぶわああああああっと脳内に広がる瞬間が本当にたまりません。この一文を読むためにこの本はあるのか!とマジで思いましたもん。
ホールデン、やかましい!黙れ!と時に言いたくなること請け合いだけど、しゃべり続けなければ溺れてしまうと恐れている感じが胸に迫ってくるのも何やら切なく、じわじわとホールデンをよしよししたくなるのもこの本の特徴かもしれません。印象は強烈なまま、未だにホールデンうるさかったよねぇ、やれやれwとか思っていますwだいぶ大人になってから村上春樹訳の「キャッチャー・イン・ザ・ライ」も読みましたが…随所で村上春樹節が鼻について集中できませんでしたw個人的には野崎孝さん訳のこちらの方が好みです。





永遠の仔〈上〉 天童荒太
永遠の仔〈下〉
 

読んだ当時の私の人間関係までリアルに思い出せそうなぐらい、その時持て余していた感受性まで思い出して苦しくなる本。天童さんが直木賞を受賞した「悼む人」より断然こっちの方がスゴイ作品!と個人的には思っています。天童さんの作品の中で「包帯クラブ」とどっちにしようか迷ったけど、「永遠の仔」でエントリーしました。
昨今、児童虐待事件のニュースが絶えず、耳にするたびに非常に辛い思いにかられるし、大人として何かできなかったのかと自問することが続いていますが、児童虐待は昔も今もたぶん一定数あり、これからも考え続けなければならない問題だと思っています。この小説は「児童虐待」がテーマのひとつとして取り上げられていますが、大人の歪んだ思想や自己肯定が子供に与える影響の大きさを訴えつつ、同じ痛みを知った人間同士の間に生まれる心のやりとりが大きなテーマかなと思います。子供の頃に背負った傷の大きさが後に大きな影響となって現れる典型的な流れが非常に重くのしかかり、最悪の想像をしながらそうでありませんようにと願い読み進めていると最悪の想像が当たってしまってズドーンと落ち込む展開ではありますが、そこに痛みを分かち合える人間がいたことで救われる物語でもあります。作品自体には救いはないかもしれませんが…痛みを知った人間から生まれる優しさと温かさ、思いやりという想像力、そういうものを感じ取る物語だと思います。





限りなく透明に近いブルー 村上龍


村上龍作品は大好きで、小説はほぼ全体的に読んでいて、どれも印象的で選びようがないというのが正直なところですが…初・村上龍体験をしたこの一冊をエントリー。ほぼぶっ飛んでる乱痴気状態の日常が淡々と流れる話ですが(それ全然日常じゃない!かもしれないが、本当にそういう話なのです)、主人公の目はどこか冷めていて、冷静というか冷徹です。この話を思い出す時、どういうわけか大江健三郎の「個人的な体験」を思い出します。たぶん私の中では「鳥(バード)」でつながっているのだと思います(笑)
村上龍の小説は、一貫して俯瞰している感じがします。一人称でも三人称でもそう。一見他人事のような視点で書かれているので、人によっては入り込めないのかもしれません。私は逆にそのスタンスが好きなんだと思います。
ところで「限りなく透明に近いブルー」というタイトル、今更だけどカッコイイよね。そしてこれまた今更だけど、「愛と幻想のファシズム」にすべきだったか…なーんて思っている自分もいて、そんな自分にガッカリしているところですwいや、「69」も大好きだなーとか「希望の国のエクソダス」も大好きだなーとか「半島を出よ」にすればよかったかなーとか、エグイけど「イン・ザ・ミソスープ」もありだったなーとか、「共生虫」もリアルだったなーとか、「イビサ」も「オーディション」もアリだったなーとか、「走れ、タカハシ!」も意外とアリかもとか、いろいろ考えてしまって落ち込んでいるところですw





獣の奏者 1闘蛇編 上橋菜穂子
獣の奏者 2王獣編
獣の奏者 3探求編
獣の奏者 4完結編
獣の奏者 外伝 刹那

   



動物と一緒に旅する話とか、相棒が動物とか、動物と力を合わせて生きていく話とか、友達が動物とか、そういう話に目がありません。動物に限らず、例えば妖精とか幻獣とか精霊とか、守護的な何かでも一向に構いません。ピィーッと口笛を吹けば駆け寄ってくる馬でもいいし、ドラゴンでもいい。アバターに登場するあの空飛ぶ乗り物でもいい、とにかく人間ではない別の生き物と心を通わせるお話が大好きで、だからこの小説も大好きなんだと思います。ああ、王獣に触ってみたいwできれば乗ってみたいw
この小説を読むと決まって風の谷のナウシカを思い出します。





戦禍のアフガニスタンを犬と歩く ローリー・スチュワート


読み終わるまでにとても時間がかかった本でしたが、読み終わった後もずっしりその余韻を引きずった本でした。
作者はイギリスの元外交官で、アフガニスタンを自分の足だけで旅した人。しかも一人で。途中成り行きで道連れとなった犬がいて、後半はその犬と共に1日30-40キロ歩きとおしたというから驚きです。この本のすごいところは、ただの旅日記ではないところ。文中ただ者ではない感を漂わせながら、翻訳された著作がこの本しか見当たらないので、その後どうしているのかすごくすごーく気になり、調べてみたところ…どうやら政治家になっている模様。並行して執筆活動も続けているようです。とにかく多方面に優秀な人なので、その他の活動や現況が伝わってきたら嬉しいなと思います。
以前書いた感想文のようなものがあったので、もしよろしければどうぞ▶こちら

【5/24追記】
この本の著者、ローリー・スチュワートさんは、現在「国際開発相」だそうで、しかもEU残留派として首相候補に名乗りを上げているとか…
率直な感想として「マジかよ…」でしたw




考える日々 池田晶子


初めて池田晶子さんの「言葉」を読んだ時、体がフッと軽くなった気がしました。わからないことをわかるという感覚。死とは何か。生きるとは何か。正しいことは正しい。悪いことは悪い。我思う。故に我あり。哲学っておもしれー!と思い、当時池田晶子さんの本をはじめとするさまざまな哲学書を読み漁ってました。さまざまな哲学書を読んでわかったことは、池田さんの言葉のすごさ。強くて激しいんだけど、温かい。結局他の本など放ったらかしで池田さんの本を読んでればいいやというふうに落ち着きました。この人の本を読むと、いつも怒られているような気持ちになりますが、目から鱗がボロボロ落ちるし、膝を何度叩いたかわからないし、突然ハッとして立ち上がっちゃうような衝動もたくさん味わいました。そして何より、気持ちが楽になります。大好き。
池田晶子さんは、2007年46歳の若さで逝去されました。もう二度と彼女の生の言葉に触れられないと思うと悲しくて仕方ありませんが、これからもずっと死ぬまで考え続けて行くことが一番なんだろうなあと思っているところです。





鬼平犯科帳 全24巻 完結セット 池波正太郎


鬼平犯科帳、マジで楽しかったなー…と未だに思い出してニヤニヤしてしまう時代小説。初めて手に取ったのは、池波正太郎さんが急性白血病で急逝されてすぐだったと記憶しています。読み出したら面白すぎて止まらなくなって、1日1冊以上読んじゃうなんて日もざらでした。当時はまだインターネットなど存在しないに近い状態だったので、ほぼ毎日本屋さんに通い詰め。読み終わったら買うことを繰り返していました。余りにも集中して読み過ぎて、一時話し言葉が変でしたw全部読み終わってしまった時は途方にくれました。私はこれから何を読めばいいんだ!?状態に陥ったからです。…迷わず「剣客商売」に走りましたwその次は「梅安シリーズ」wそれも終わってしまってからは、池波正太郎以外の時代小説になったりもしましたが、つくづく、しみじみ、鬼平犯科帳は本当に面白かったなぁと思い、今度長期入院することがあったら全巻読み直したいなぁなどと思いました。本当に楽しい読書体験でした。





魔女の目覚め〈上〉(シリーズ全部) デボラ・ハークネス
魔女の目覚め〈下〉


 

ファンタジー小説も好きだけど、奇想天外なミステリーも大好き。加えてゴシックな佇まいが感じられる厳かな小説も大好き。それは何かといわれたら、黴臭い埃臭いところにいそうな、吸血鬼とか悪魔的な何かとか魔法とか魔法使いとか、古くから語り継がれてきているものとでも言いましょうか、決して宗教的ではなく、その対極にある物、宗教を正当化するためにある物と言い換えてもいいかもしれません。日本には「八百万の神」とか「妖怪」という概念がありますが(私は概念ではなく「ある」「いる」と思ってますけどw)、言葉では説明できない何かを説明するためのものという認識です。そういうものを現実ととらえ、存在するものとして扱っている小説が私は大好きなのです。
この一連のシリーズはそれを具現化し、かつ歴史を司る過去の大きな出来事も取り込みながら、異種間ロマンス(ここではヴァンパイアと魔女)と、彼らの存在意義をリアリティたっぷりに知らしめた壮大なダークファンタジーだったなぁとつくづく思うのです。
似たカテゴリーの本は他にもたくさん存在します。ヴァンパイアものなど有象無象ありますが、例えば「ヒストリアン」という小説。古臭いヴァンパイアをテーマに扱った歴史小説でしたが、これがべストセラー!?と疑う、苦行にも似た辛いだけの読書体験だったのに対し、ダンブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」に代表されるロバート・ラングドン教授シリーズは、宗教や歴史上の矛盾を鋭く突きながらエンターテインメント化させ、賛否両論を巻き起こしながらも世の中の是非も含めてファンタジーとアドベンチャーの世界へ誘う画期的な内容だったと思います。何より読者を飽きさせないサービス満点の展開が素晴らしい。さらに同テーマでロマンスに特化した「トワイライト」シリーズも異種間ロマンスという意味で大興奮した小説でした。他にもいろいろあると思いますが、その中でもこの「魔女シリーズ」は、私の大好物要素がてんこ盛りな上、歴史とファンタジーを見事融合させたという意味で最も秀でており、何より物語として非常に楽しかった!と思ったので1/20冊に選びました。例の如くシリーズで1冊として数えちゃったのはご愛敬。実際、ひとつの物語が6冊に分冊化されているだけだから、1冊でいいのです!w
このシリーズは完結してしまいましたが、この手のスペクタクルは愛してやまないので、作者のデボラ・ハークネスさんはどんどん書いてくれていいよ?w





という20冊(シリーズ)になりました。何か遠い目になるよね。私はなったよw
この20冊に入れなかったけど、入れたいんだよ!という次点本ってのもあります。それもついでに紹介しようかと思ったけど、ちょっと私が力尽きてしまいましたwなのでまた別の機会にまとめますw


posted by 神無月ヱイト at 15:19| Comment(0) | Book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。